木の文化を感じる31のキーワード

11 時の流れを感じる古材

時の流れを感じる古材

場所や役目が変わりながら昔から木材は再利用されてきました。
時を経たものが持つ味わいとともに、古材の活用が注目されています。

かつて木造の建築物では解体して別のところに移築したり、解体された建物の柱や梁を新たな建物に活用することが当たり前に行われていました。歴史的な建造物では金沢城二の丸能舞台を移築改造した中村神社(金沢市中村町)や、兼六園にあった竹沢御殿の一部を使った成巽閣(せいそんかく/金沢市兼六町)もあり、また記憶に新しいところでは国登録有形文化財の建物を移築して2020(令和2)年にオープンした国立工芸館などがあります。特に戦前に建てられた住居などには、良質な木材が多く、長い歳月を経たものが持つ味わいがあるとともに、しっかり乾燥したものは高い強度もあり、解体で出た古材を再利用する動きもあります。廃棄される予定の古材を再利用することは廃棄物を減らし、環境保護にも通じます。最近は建材としてだけでなく、インテリアの一部として古材を利用する流れもあります。木は生きものなので、ちゃんと修理したり、悪くなった部品を取り替えて使い続けることでもっと木への愛着や歴史を積み重ねることができます。

Interview

古材の魅力を生活の場に

町家等に使われていた古い板を利用して、「コイタ」と名付けた飾りを製作しています。とある現場で、撤去される予定の畳の下に敷かれていた板に、今は使われることのない「オガ」という大きなのこぎりで削られた跡がとても美しく見えて、これを何とか残していけないかと思ったことがきっかけです。当時は薄い板をつくるのも大変な労力だったのですが、大工の手仕事による痕跡と、時を経てきた木の味わいは、今の目で見てとても価値があるように思います。植物を添えてイベントの際に販売したり、店舗のサイン等にも活用しています。

橋本浩司氏

株式会社橋本建築造園設計